手を握るのも、やっとだった当サイトデフォルト(のはずだった)ライ修羅ほの甘。


帝都設定では、微妙にリバ、になっている気も。大丈夫とは思いますが一応改行クッション。









築土町
銀楼閣 鳴海探偵社

「ライドウ」
「……何か?シュラ」
唐突に名を呼ばれた悪魔召喚師が、人型をとった最強最悪の悪魔を見ると。
彼は、その黒を纏う白磁の面を映した灰色の瞳をキュ、と、どこか不機嫌そうに狭めた。

「……お前さ、もしかして、自分で分かってないの?」
「え?」
虚をつかれたように返すライドウの返事に、更に彼の瞳が不機嫌さを増す。

訳が分からない。
彼が何を言いたいのかも。
常に優しい彼が、こんな風に負の感情を持って、自分を、見る、のも。

その視線を受けるだけで、胸が苦しい。
嫌われたのか、と。いや、その前に、好かれているかすら、分からない、くせに。

はあ、と。呆れたような彼の溜息が。
胸の痛みを加速させ、
悪魔召喚師もまた、眉を寄せる。

その彼の様子に頓着もせず、悪魔は同じく戸惑う周囲に言葉をかける。

「ゴウトさん。鳴海さん。今日のライドウのお仕事って何ですか?」
『情報収集だ。異界晴海町にて』
「異界で、情報収集。……じゃ、悪魔相手に、ですね」
「当然、そうなるね〜」
「なら、ゴウトさん。今日は俺とデートしてください」
「『え』」
と、これまた驚く上司達を無視して。
大丈夫ですよ。直接時空裂いて入りますから。電車使わない分、早く着けますね。何時に出ます?
と、彼はその仕事内容の確認に入ろうとする。

「な、シュラ、何を」
言い出すのか、と戸惑い、彼の傍に寄ろうとしたライドウは、何故か、かくり、とよろける。

が、一瞬の後。
ライドウは、ふわりと抱き上げられた感覚に息を止める。
その勢いで落ちた学帽は、横抱きにされた己の胸の上に落ち。
彼を軽々と抱き上げた悪魔の額は、コツンと召喚師のソレに当てられる。

冷たくて、気持ちがいい、と。感じると同時に。
至近距離から覗き込まれた、どこか苛立たしげな金色の光に、ゾクリとして。
熱が、上がる。

……熱?


はあ、と、また聞こえる溜息。

「お前さ。ポーカーフェイスも大概に、な」

そう言って、呆然としてただ見守る上司達に
「こいつ、熱あるんで、寝かせてきます」と一言。

反則ですけど、今日は俺が代わりに仕事しますから。よろしく、ゴウトさん。また、後で。
と、黒猫にニコリと、言葉を残して。

召喚師のお姫様を抱いた悪魔の王様は、パタン、とドアの向こうに姿を消した。

「『……』」

「ね、え。ゴウトちゃん。言葉、分からないけど、気付いてた?熱、あるって」
『ニャー(いや、まったく)』

「愛の力かな」
『ニャ(多分な)』






Ende

帝都top


こんな淡い情景を本当はもっと書きたかった。