「ホントにありがと」
ライドウを、助けてやってくれて。
「これからも、よろしくね」
ライドウの傍に、居てやってね。
今でも覚えてる。
お調子者で能天気な自分が、うっかりと、君に投げた残酷な言葉。
「……すみません」
今でも覚えてる。
あのときの、君の、かすれた、小さな声。
……俺、ホントはさ。
どっかで、ずるいなぁ、って思ってたんだ。君のこと。
……だって、さ。俺の方が、君より、ずっとアイツと一緒に居たのに。
「すみません。俺、それは、約束、できません」
例の老人からの“依頼”で、君とアイツが一緒にいた時間は。
俺が知ってるより、もっと、ずっと長かったらしいことぐらい、理解してる、けど
それでも、俺がアイツと知り合ってから、今まで、よりは、短い、よね?
「できないんです。すみません」
人の繋がりなんて、時間の長さと比例しない。
そんなことぐらい、分かってる。分かっている、けど。
……あんなに。アイツがあんなに、まるっきり変わってしまうぐらい、囚われる、なんて。
「でも。俺」
だからといって、わざと、じゃ、無かった。
……いや、無かったと、思いたい、だけかもしれない、けど。
君の口から、あんな言葉を、言わせてしまった事実は、変わらない。
「でも。ちゃんと、全部」
今でも、耳に残ってる。
あの、血を吐くような、声。
「全部、忘れさせ、ますから」
君が、どういう立場に居る、どういう子なのか。
うすうすでしか、無いけれど、それでも。
分かっていた、はずなのに。俺。
「あいつに要らないモノは全部、ちゃんと」
浮かれて、うっかり、そんな哀しい言葉を。
君の口から言わせてしまった自分が、とても。
「ちゃんと、捨てさせて、から、俺、消えます、から」
俺は、とても、許せないんだよ。シュラちゃん。