アトノマツリ 03



「ホントにありがと」
ライドウを、助けてやってくれて。
「これからも、よろしくね」
ライドウの傍に、居てやってね。


今でも覚えてる。
お調子者で能天気な自分が、うっかりと、君に投げた残酷な言葉。


「……すみません」

今でも覚えてる。
あのときの、君の、かすれた、小さな声。




……俺、ホントはさ。
どっかで、ずるいなぁ、って思ってたんだ。君のこと。
……だって、さ。俺の方が、君より、ずっとアイツと一緒に居たのに。


「すみません。俺、それは、約束、できません」


例の老人からの“依頼”で、君とアイツが一緒にいた時間は。
俺が知ってるより、もっと、ずっと長かったらしいことぐらい、理解してる、けど
それでも、俺がアイツと知り合ってから、今まで、よりは、短い、よね?


「できないんです。すみません」


人の繋がりなんて、時間の長さと比例しない。
そんなことぐらい、分かってる。分かっている、けど。
……あんなに。アイツがあんなに、まるっきり変わってしまうぐらい、囚われる、なんて。


「でも。俺」


だからといって、わざと、じゃ、無かった。
……いや、無かったと、思いたい、だけかもしれない、けど。
君の口から、あんな言葉を、言わせてしまった事実は、変わらない。


「でも。ちゃんと、全部」


今でも、耳に残ってる。
あの、血を吐くような、声。


「全部、忘れさせ、ますから」


君が、どういう立場に居る、どういう子なのか。
うすうすでしか、無いけれど、それでも。
分かっていた、はずなのに。俺。


「あいつに要らないモノは全部、ちゃんと」


浮かれて、うっかり、そんな哀しい言葉を。
君の口から言わせてしまった自分が、とても。


「ちゃんと、捨てさせて、から、俺、消えます、から」


俺は、とても、許せないんだよ。シュラちゃん。





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