ゲンザイ 09




「ライドウ」



優しい音に起こされて

十字架に掛けられた、美しい"葡萄の木"の瞳が、開くのを、見る



紅涙を流し続ける、それが語るのは、僕の罪






ライドウ

忘れないで

これは、俺の肉

これは、俺の血



お前は、それを食べたのだから

お前は、それを飲んだのだから

もうお前はお前だけの意志では死ねない




誰も、ゲンザイからは、逃げられないよ

お前も、そして、俺も















ああ

きっと

僕は、そう、したのだ

僕は、貴方の肉を喰らい、貴方の血を、飲んだのだ








僕は、このゲンザイを、償うまで

貴方のところへは、行けない、のだ




この、残酷な生が、終わる、まで



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「これは、私の肉。これは、私の血。」
“最後の晩餐”で、パンとワインを弟子にお与えになりながら、
あの方がおっしゃったとされるお言葉です。

深いお言葉ですので、どう受け止めるかは、お読みになった方にお任せしたいと思います。