「漠たる死に安らぎなし、ってね」
見たことも無い人型の悪魔は、黒衣の召喚師の心臓を貫く直前で手を止め、そう言った。
無邪気とも言える笑顔でさらりと。こともなげに。
決して、油断していたわけではない。自らがそれほど惰弱とも思っては居ない。
・・・だが、この悪魔の強さは異常だ。対峙したその一瞬で趨勢は決定した。
「き、さま。何者、だ?」
睨みつけるように黒い瞳を向ける召喚師に、悪魔は お、と笑顔を向ける。
「ふうん。この状況でそんな態度でそんなコト言えるんだ。さすがにルイのお気に入り♪」
さながら捕まえた鼠で遊ぶ猫のように。楽しげに、その金色の目が細くなる。
「でもさ。俺のコト知りたいなら、もうちょっと強くならないとね。美人なデビルサマナーさん」
・・・くすくすと面白そうに笑うその顔を、いつかこの足元に平伏させてやる。