注意
この作品は完全なるパロディです。
会社員のライドウさんと、その同僚で年上の会社員の人修羅さんが居ます。
”人修羅”は愛称で、苗字は「由良」です。下の名前はまたいずれ。
ライドウさんは召喚部大正課所属。上司は鳴海さんで 約2.5人目ぐらいの性格です。
真・転生部 第V課所属の人修羅さんの上司は、坊ちゃま部長と氷川課長です。
以上の条件をクリアできる方だけ、下へお進みくださいませ……。
◇◆◇
「あ……っと」
また、来てたんだ、ライドウくん、と、入り口のドアを後ろ手に閉めた、貴方が笑う。
卑怯だ、と思う。そんな柔らかい微笑み、しないで、ください。
……ほら、周囲の色が変わる。貴方へと向けられる秋波は、早くも波浪注意報レベルだ。
大体、どう見ても十代にしか見えない、その可愛い顔は何ですか。童顔にも程がある。
「あ、由良さんだ」
こんばんはぁ、と、珍しく酔っ払った声の君がカウンターで笑う。
困る、と思う。そんなキレイな顔して、そんな頼りなげな、風情見せないで。
ああ、もう。今まで誰の毒牙にも引っかかんなくて、ホント良かった。
大体、何。その白い肌とか赤い唇とか鴉の濡羽色の髪とか。美人にも程ってもんがね。
「いつもの、でいいわね?人修羅さん?」
ママさんの微笑が、僕の横に座る貴方に向けられる。ほら、その色もさっきとは違う。
貴方に教えてもらった、この雰囲気のいいバーは貴方のファンの巣窟、ですよね。
貴方、全然気付いていないでしょうけど。
<来てるわよ。彼。珍しく深酒だから……早く迎えに来た方がいいわ>
ママがくれたメールを見て、慌てて来てみれば……ホントに君は。
ここなら、君が俺の大事な同僚、って分かってるから、そうそう変な手を出す奴居ないけど。
それでも、って、考えるバカも居るってこと、君は全然気づいてないから。
「ねぇ、由良さんは、上司に不満とかって無いんですかぁ?」
ほら、前に僕が愚痴ったときに、言ってたじゃないですか。
「“親と上司は選べないんだよ”って」
どんな親の元でも、どんな上司の下でも。どう成長するか決めるのは自分だよ、って。
「そう言うって、ことは、由良さんも、そう思ってたって、こと、ですよねぇ?」
でも、僕、由良さんから上司の愚痴って、聞いたこと無いんですけど。
……ああ。自分でも分かる。……酔ってる。
何でこんなにいっぱい由良さんに、喋ってるんだろう。
大体、反則過ぎるんだ、この人。
そんな顔して、僕より年上だとかプログラミング能力は超一流だとか喧嘩も強いだとか。
何でそう卑怯すぎる要素で構成されているんですか。貴方。
これで料理が上手かったりなんかしたら、もう絶対嫁にする。嫁に!
「上司に不満が無い、わけじゃないよ」
俺をこんな生き物にした、"親"にも、ね。
「でも、君の上司は、本当はとてもいい人、だろ?……そしてお互いにどこかで信頼してる」
だから君も彼のことを愚痴れるし、彼も君に甘えられる。
違う、かな?
……今日はホントに珍しいくらい、酔ってる。ライドウくん。別人みたいでドキっとする。
おかしいな。大正課に今はそんなに難しい案件は行っていない、はずなのに。
大体。反則過ぎるんだよね。ライドウくんって。
こんな綺麗な顔して、武道の達人だわ、負けん気強いわ、仕事もそつないわ、努力家だわ。
何でこう、俺のツボなところばっかりで、できてるんだろう。
これで……いや、何でもない何でもない。嫁には、今でも、十分、したいから。
「……じゃあ、由良さんの上司は、」
(本当はいい人じゃなくて、信頼しあっていない?)
(だから、貴方は愚痴も言わない?言えない?)
「ライドウくんは、……優しいね」
途中で言葉を止めた僕に気付いたのか、貴方が笑って、囁いてくれる。
周囲を気遣ったのか。僕を気遣ったのか。……小さな声で。
でも、耳元で、そう、するのは。
――― 大反則だ。
◇◆◇
「ああ、ほら。ライドウくん、しっかり歩いて!家はここから遠いの?」
「遠い、です。とっても遠いです〜。何しろ"里"ですから」
「? 何を言ってるんだか……。仕方ない、なぁ……俺のマンション近いから、そこでいい?」
「はぁい。賛成〜。じゃあ、由良さんの家に僕をお持ち帰りしちゃってくださぁい」
「……了解」
「やったぁ。初めてだぁ。……ああ、でも玄関開けたら、恋人とか、居たり、しません?」
「いや……今は居ないよ。大丈夫」
「今はってことは、前は居たんですかぁ。どんな人でしたぁ。美人さん?可愛い系?」
「ライドウくんって、酔うとえらく人格変わるよね……何でそう俺のツボなの」
「いいから答えてくださいよぉ」
「強いて言えば、美人系、かな。……大柄の」
「美人系……美人度なら、僕も負けてないと思うんですけどっ!」
「……ああ、もう〜。君の今の状況って、何とか言うよな。……ああ、そうだ“管を巻く”だ」
「そっかぁ。じゃあ、今の僕は、アレですねぇ。どっかのゲームの珍獣クダですね。くすくすくすくす」
「って、うわ!ちょ、ちょ……っ、歩けないから!腕とか足とか巻き付けちゃダメ!」
「だって、“追撃の心得”、がデフォルトスキルですから〜」
…………も う 勘 弁 し て く だ さ い。 (俺を追撃してどーすんのー!)
その後。
翌朝、爽やかなアラーム音で、すっきりと目を覚ましたクダくんが。
知らない部屋の知らないベッドで眠っている自分に、死ぬほど焦ったり。
キレイにプレスされたズボンと新品のシャツ他の着替え一式に、思い切り恐縮したり。
食べれたら食べて、とメモがついた、胃に優しい朝食の準備に、心の底から悶絶したり。
早朝から会議があるから、先に出るね、と置手紙を残した相手に会いたくてたまらなかったり。
その日の昼休みに、やっと彼を見つけて。
迷惑かけてすみません!と真っ赤な顔で部屋の鍵を返そうとした当の相手に。
(イヤじゃなかったら、そのまま持ってて)
……そんな弱点攻撃の“囁き”で、息の根を止められそうになったりするのだが。
――― それはまた。別の話で。
Ende
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