変容 〜ティアマット抜粋〜



愛とは何か、本当は私には分かりません。
愛というのは、執着という醜いものにつけた仮りの、
美しい嘘の呼び名かと、私はよく思います。

伊藤整「変容」




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共に気を放ち、繋がりを解いた後も、
己の主人をその腕と翼で抱きしめたまま離そうとしない天使に。
人修羅はまだ擦れた声で問うた。

「今まで、何度、()を犯したの?」
――― 頭の中で。

「・・・何度も」

その問いが『罰』だと分かっている天使は、目を閉じて、悪魔に懺悔する。


くす。
「じゃあさ、何度、()に犯されたの?」

腕の中の宝石が色を変えたことに気付いても、
腕も翼もその抱きしめる力が変わることは無い。

むしろ、より強い色を放つそれが逃げていかないように
更に深く抱きしめて、天使は真実を答えた。




――― 何度も。






Ende




・・・こんな話なんです。