「あれ?・・・歌も、終わりが無いの?」
さっきも、そのフレーズが、と。
主は瞬きをする。
ええ。
と、響きを止めて、下僕は答え、そして、思い出す。
おそらくは、もう一つの、「始まりと終わりの無いモノ」も、この、探究心旺盛な主は喜ばれると。
我が地では、神話も、"そう"なのですよ。主。
え、神話って。神様が世界を創ってどうの、っていう、アレ?
はい。
ええ!? 世界の始まりも、無いの?
ありません。残っていないだけ、とも考えられますが。
・・・他の神に、淘汰、されて?
はい。
リン、なら、真実を知っているだろ?本当は、どう、なの?
その問いには、白い幻魔は微笑むだけで答えない。
神話も、伝説も、ヒトと世界が創り上げ、伝承していくもの、であるから。
消えたものへの言及は、淘汰されたことへの不要な抗いは、彼の旨とするものでは、無い。
もう!笑って誤魔化すなんて、ズルイ!
すみません。でも、始まりは分からずとも、きっと、世界の終わりは。
その先は言わずとも、聡明な主には分かる。
「・・・終わりを作るのは、俺?」
また微笑むだけで答えない下僕を軽く睨んで、ぷぅ、と膨らんだ主の頬に。
海の神から贈ら
れた眉庇を外して、
そっと、白い幻魔は口付けを贈り、その怒りを宥めてもらう。
お詫びに、もう一つ、はじまりとおわりの無いものを、お教えしましょう。
まだ、あるの?
ええ。
我が、最愛の主。