"G" is for G(ry. 〜Gは ギョ(ry のG〜




その、新しい姿を得た、元仲間は。
史上最大の難問を、俺へと提示した。




どうかしら、ホクト。
「光の力で生まれ変わったわたしの姿は・・・?」

そう言って、誇らしげに俺の方を見るのは、さっきまでデモニカに身を包んでいた彼女、だ。

「・・・」

ろくな前振りも無く、いきなり変身して・・・。
ほんでもって、わたしの姿は・・・?とか、いきなり聞かれても・・・。

と、とりあえず、選択肢を確かめよう・・・。

〔 綺 麗 だ 〕
〔 恐 れ 多 い 感 じ だ 〕
〔 問 題 は 無 い 〕

「・・・」

これだけなのか・・・。

黙り込み、俯いて考え込むホクトをゼレーニンもマンセマットも、どこか不安な面持ちで見守る。

綺麗・・・なことは綺麗だが、綺麗だ、と言い切るにはどうも何かが違う・・・。
かと言って、恐れ多い・・・いや、これもちょっと違うな。
そして、・・・問題は、ある。大有りだ。これで問題が無かったら、それこそ問題だ。
というより、何かに似ているんだ。あの襟が。尖った襟が。白い襟が。複数の襟が。
ええっと・・・何だったかなー。あんなに調子こいて尖らせたら、焼くときに焦げるアレ。
・・・あっ!そうか、あれだ!!正しくあれだ。絶対アレだ!!

思い出してすっきりとした表情で顔を上げた俺を、嬉しそうにゼレーニンが見る。

「決まったのね。ホクト。言ってみて。・・・私の姿は、どう?」
「・・・ギョ」
「ほほぅ!」
「え?なんて言ったのかしら、ホクト」

「だから、ギョウ」
「ほほぅ!ほほぅ!!」
「・・・マンセマット。ホクトの声が聞こえないわ」

戸惑ったように告げるゼレーニンに。
ホクトを睨みつけ、いつもより唇の色を青ざめさせたマンセマットが、焦ったように語りかける。
「・・・ゼレーニン。少しだけ、彼と二人で話し合いたいのですが、構いませんか」
「え、ええ。構わないけれど」

(・・・待て。俺は構うぞ。何でお前と二人で話し合わないといけないんだ?!)

沈黙しつつも、微妙に抵抗を見せるホクトの腕を、不必要なまでに強く握り、
(さあ、ちょっと隠れ場まで一緒に来てもらいますよ。ホクト!)

そう、囁いた自称、救いの天使様の瞳は・・・血走っていた。




◇◆◇


グルースの隠れ場Aに潜む天使達は。
己達が従うべきである高位の天使が醸し出すどす黒いオーラに、恐れ慄いていた。

そして、その畏れの対象である、マンセマットは、
そのオーラと同等の不機嫌オーラを出した憮然とした顔のホクトに、延々と説教中であった。

「貴方が、いわゆる”天然”だと言うことは知っています」
「・・・」

「その天然さ故の明るさが、あの不幸なる船の方々を救っているということも知っています」
「・・・」

「ですが!・・・いくら天然でも言っていいことと、悪いことがあるでしょう!?」
あの麗しい姿を見て!言うに事欠いて"ギョウ○"ですか!!
そんな恐ろしい感想を聞いて、彼女が一気に悪魔化でもしたら、どうする気ですか!!!

「・・・」
ということは、お前もそう思ってたってことじゃないのか。マンセマット。
俺、そこまで、はっきりと、ギョ○ザとは言いきってないんだが・・・。


声に出さずに心の中で呟いてやると、予想通り、読心術を使っていたのだろう。
ギク、とした様子を見せた胡散臭い天使を見て。
ホクトは、深い深い溜息をついた・・・。




◇◆◇


その後。
たとえ、それが真実でも、どんなに納得いかなくても。
嘘を奨励するのが天使なのか!それがホントにロウの道なのか!という批判に甘んじても。

「さあ、ホクト。新しく誕生した麗しい天の遣いに、感想を言ってあげなさい」
「・・・」

仮にも、"女性"に向かって、
お前の新しい見た目は、ギ○ウザだ!中国三千年の歴史だ!
と言うのは確かに失礼だろう(その後の反応も恐ろしかろう)という結論に落ち着き。


「・・・・・・綺麗、(な 餃子)だ」
と。
妙な間を空けて、棒読みで台詞を言う、ホクトと。
嬉しげに、満足げににっこりと微笑むギョウ○、いや、ゼレーニンと。
疲れ果てたようなマンセマットが見られたと言う。



――― そして。

だが、あまり調子に乗って尖らせると焦げやすいぞソレ。焼くときにはくれぐれも注意しろ。
いや、普通の衣裳としてもだな。白でその形状だと、確実に汚れるぞ。
何ならあらかじめロウソクのロウでも、こすりつけて、汚れ防止をしておいたほうが。
・・・お、ロウだけに、ロウだから、ぴったりだな、と。

苦労人ゆえに、無駄に身についた生活の知恵を。
おそらくシュバルツバース内で最悪の親父ギャグを絡めて、続けようとした”天然”の口を、
どこかの”ペ天使”が必死で塞いでいたことは。

ロウ陣営の皆様には永遠に秘密でお願いします。






Ende

SJ部屋top




アレルイヤ! 餃子!!

以下反転

・・・す、すみません・・・。だって、アレは誰がどう見ても、ギョ・・・。

そして、うっかり、ロウソクとか書いちゃったせいで。
ロウソクを持ったゼレーニン様が脳内に現出・・・!ひいぃいぃぃい。似合いすぐる!!

あっ、そうか!ロウ属性のロウって、実はそういう・・・(違います)