悪魔壁 1



「この手のトラップは初めてだな、ライドウ知ってる?」
ライドウには見覚えのある、不可思議な光を放つ壁が、シュラの行く手を遮っていた。

「それは悪魔壁だと思います」
「悪魔壁?」
「結界の一種で、壁が要求する悪魔しか通れません」
「えっ、それって困るじゃん。皆一緒で行けないってこと?」
「いえ、通った後に結界の元となるものを破壊すれば、壁も消えます」

ふうん、と興味深そうにシュラは悪魔壁に触れた。

「「見目麗しき男悪魔以外は通ることまかりならん」」
「わっ!」

いきなり聞こえたおどろおどろしい声に驚いたシュラは思わず一歩退いた。

「びっくりした。しゃべるんだ」
「「汝は・・・条件に違わぬもの。通るがいい」」

あ、誉められちゃったよ、と照れているシュラに、周りの悪魔は皆、壁の評価は当然だと言わん
ばかりにうんうんとうなずいている。


『どうも緊張感が無いな』
「……そうだな、ゴウト」


「あーでも、俺一人だと何かあったときに困るから、ロキとウリエルお願いできる?」
「オレ様を選ぶとはさすがシュラだな」
「承知いたしました。主様」
指名された2名はどちらも嬉しげだ。もちろん、見目麗しいと誉められたことよりもシュラに指名
されたことに対してだが。

「主様、差し出がましいようですが、なぜ私をご指名にならないのですか?」
「リン!」
悲しげに進み出たクー・フーリンにシュラは慌てて駆け寄った。

「ごめん。リン。お前も指名しようと思ったんだけど・・・何だかさ」
「何か、お気にかかることでも?」
「うん。よく分からないんだけど、どうも変な感じがするんだ」

『なるほど。だから、両極な二体を選んだのか』
「シュラは今『にゅうとらる』だし、あの二体の能力なら、余程のことが無い限り対応がきくな」
クー・フーリンとのやりとりを聞きながら、ゴウトとライドウはシュラの判断を評価した。

「だからリンはこちらで何かあった時の為に待機、お願いしていい?」
もちろんです、我が主、とクーフーリンはひざまずいて、心の底から愛おしそうに臣下の礼を取った。


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ウチの人修羅はクー・フーリンを「リン」と呼びます。
理由は「設定」を見て笑ってやってください。