永遠 〜再生 with Devil Hunter〜



そろそろアマラ神殿かな。ヤヒロノヒモロギを奉納しに、と、カイは微笑む。俺と同じ顔で。

ああ、と、俺も返す。遊んでいるのも、飽きたし、と。

「遊び・・・か。アマラ深界、行ってきたんだろ。どうだった?」
まるで、ハワイかグアムに行ってきた、みたいな言い方で聞かれて、思わず俺は吹き出す。
吹き出しながら、答える。面白かったよ、シューティングゲームもどきまであって、と。

そう。面白かった。
……だって、ずっと考えていた、から。

世界がこうなった理由。俺がこうなった理由。俺が進むべき先。世界が選び取るべき未来。
老紳士の動かぬ表情も、喪服の女が語る真実とやらも、そのヒントとなるようで、面白かった。
でも。段々と。アイツと一緒に居る内に。

「どうでもよくなったんだ?」
身も蓋も無いカイの表現に、また、吹き出す。
ああ、そうだよ。と。どうでもよくなったんだ。他者から押し付けられる「理」なんか。



◇◆◇



人は変わることができる。
自分の力で自分の意思で、もう一度、世界を再生できる未来だってきっと、ある。
もう、間に合わないかも、しれないけれど、それでも。俺はそう、したい。

だって、生まれ落ちたときから、その命がどう進むかはその命が決めるものだろ。
瀕死だからって、怪我したからって、病気だからって、壊れていくからって。
他者の意思で一方的に生まれ“なおされる”、なんて、冗談じゃ、ない。

アマラ深界で知った、たくさんの嘘と真実。
蠅の王を倒し、メカ天使を壊して、それでも最下層に俺は、降りなかった。
心のどこかは、降りたい、と言っていた。もっと、真実を知りたい。近づきたい、と。

でも。
もっと強い何かが、行くな、と。
最後の最後ぐらい、計算した思考じゃなくて、自分の気持ちで決めろよ、と、俺を。


「いいかげん、さ。無駄なことをぐだぐだ考えてないで、行動するよ」
百足(ムカデ)だったっけ?どの脚の次にどの脚を出すのかを考え出して、動けなくなったヤツ。

俺は、百足にはならない。自分の動きたいように動いて、みせる。

そう言う俺に、にこりと笑むカイの瞳は深い。深くて、寂しい。いつかの父さんのように。

「……決めたんだ?」

俺と同じ顔でそう微笑む、カイの言葉は、「じゃあな」、と聞こえたから。
俺も、同じ響きで、答えた。

「決めた」



◇◆◇



「キョウ!」
「響様……!」

あ、れ?俺、どうして。

確か、これからアマラ神殿に行こうって、皆で決めて。

「もう!いきなり倒れるから、どうしたのかと思ったじゃない!」
ぽかぽか、と、その可愛い拳で胸を叩かれて。悪い悪い、と、俺はピクシーに、笑う。

「・・・誰に、喚ばれた」
怒りと少しの焦りを含める赤い声に、心配いらないよ、と、頬を撫でられながら俺は答える。
「大丈夫。坊ちゃまでも、ご老体でも、無い」と。お約束(・・・)で詳細は覚えてないけれど、と。

答えながら、にこり、と笑んでも、どこか不安そうな面持ちのままの仲魔たちに。
俺は、ああ、肩凝ったーと。首を回してみせる。変な寝方したから寝違えたかな、と。

主様、それは……と、違う意味で固まる周囲を不思議に思う暇も無く。
変な寝方させて悪かったな、と、それまでどうやら俺の枕になっていたらしい半魔が呟く。
うわぁ、しまったと慌てても、後の祭りだ。

(こいつ拗ねると長いからなー。仕方ない、とりあえず、場を濁しとくか)


「ええと。皆、心配かけて、ごめん。もう、ホント、何とも無いから、大丈夫」
そう言って、美しい音の名を持つ人修羅はスッと、静かに、立ち上がる。

その落ち着いた声は力強く、その涼やかな笑みは心地よく。
周囲が慄くほどの、大いなる内包した力を響かせながら、彼は、何でもないように言葉を放った。


「だから、そろそろ、行こう」

あの、壊れかけた懐かしい世界を再生して、俺たちの手で、違う未来を創るために。



Ende

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ほら、ダンテもいつまでも拗ねてないで。