「サキサダマリテ シズカナリ」 今のあんたを見てると、思い出したよ。 この場所を去る間際。そう小さい声で落として、去って行った創生の悪魔。 言の葉を操る魔物は、最後までそうやって私の静寂を乱す。 「シズカ、か」 シジマ。静かなる理。 ゆるゆると止まったような時を生きる穏やかな静寂の世界。 欲の無いそこでなら、きっと君も、誰からも害されずに生きていける、のに。 ――― 牡丹花は 咲き定まりて 静かなり 花の占めたる 位置のたしかさ 「確か木下利玄……牡丹花、か」 牡丹。 百花の王。 白き静かな面(おもて)と赤い情熱の内を持つ鮮やかな襲(かさね)。 「その鮮やかな称号は、君の最後の理に捧げてやりたまえ」