サキサダマリテ 04



何度、巡っても、同じ。
共にシジマの創世を為し、共に穏やかな暮らしを望んでも。
いや、君を失うくらいなら、私自身が贄にといくら、望んでも。

いつも。引き換えになるのは、いつも。君のほうだった。

けれど。

このルートは初めてのケース。
シジマでもヨスガでも現世でも、全てを拒絶した真の虚無ですら、無い。

君はおそらく真実に近づいたのだ。あの哀れな輪廻を巡る“観察者(ヒジリ)”の意味まで悟って。

「カミゴロシにはさせたくなかったか」
「……何のこと?」
「一人、足りぬようだ」
「!……」

一体ではなく、一人。それだけで君にはよく分かっている。
いつからか君の傍に居た黒い男。常に君から離れぬ彼をここにつれてこなかったのは。
彼を呪われた輪廻に引き込まぬためだろう?

人の身で神を殺せば、いかなる理由があろうとも祟られる。あのヒジリのように。
きっと、君は、私のときと同様、どの理の神の前にもあの人間を連れて行きはすまい。
懸命な、と感嘆し。不憫な、と慨嘆した。

葛葉ライドウと言ったか。ルシファーが引き込んだ新しい黒い異分子。
コトワリ争いには問題が無いと判断して、放置していたのが間違いだったか。
いや、それとも正解だったのか。

けれど君の願いはきっと叶わない。
いつか彼も叫ぶだろう。私のように。彼も追い求めるだろう。私のように。
それでも、救いは。

「彼はまだ人間であるからな」
「……」

カミゴロシでもせぬ限り、有限の命で居られる。
私達のように、巡り続ける閉じた地獄で、見果てぬ夢を見続けることも無い。

「羨ましい、ことだ」
(終わりがあるということは)

「そう、だね」

羨ましいね、と。その対象を思い出したのだろう。
ふわりと、やわらかい満足げな悪魔の笑みを見ながら。
いつかあの人間もこの終わりの無い争奪戦に加わるかもしれんな、とふと、思った。






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