「ライドウ」
「……シュラ」
目覚めると、明るい朝の光が窓から注ぎこんでいて。
貴方の心配そうな瞳が、僕を覗き込む。
「大丈夫?酷く、魘されてたけど」
「え、っと。そう、でしたか?あまり、よく覚えて、いなくて」
悲しそうな顔を見たくなくて、僕は嘘の混じる真実を言う。
(ええ。よく、覚えて、いません。……この、心の臓を抉るような、罪悪感、以外は)
哀しい嘘の報酬は、ほっとしたような、貴方の、笑顔。
……今の、僕には、この笑顔しか、きっと、守れない、から。
だから、僕は、平気な振りをするのだ。貴方が居なくなっても、大丈夫な、振りを。
――― 優しい貴方が安心して、笑って、僕を捨てていけるように。
「珍しいな。お前が、夢に、魘される、なんて」
また、どっかの夜魔にでも、一目惚れされたんじゃねーの?
モテ過ぎる、悪魔召喚師も大変だね。ライドウさん?
軽口を投げる彼を、怒った振りで睨む。
からかわないで、ください、と。
ごめんごめん、と笑って。
じゃ、水でも持ってくるよ、待ってて。と
くるりと後ろを向いた貴方の背に。
僕の刀が刺さっていると、見えたのはきっと、
――― 夢では、無い。