「うわ、キレイ。キレイキレイキレイ〜!ウリエル、すっごくキレイだね」
催眠状態から回復したシュラが、ウリエルの姿を見て騒ぐ。
「恐縮です、主様」
「えーと、黒い羽が4枚になって、瞳が赤と金?そっか、皆、お揃いだね」
「皆・・・とは?」
「ん。ロキとリンも戦闘形態はそうだよ。ロキが赤で、リンが金色」
その言葉に、以前の仲魔を焼き殺さんばかりの視線で見たウリエルは「なるほど」と呟いた。
同じくウリエルを突き殺さんばかりの視線で睨み返すクー・フーリンを見ながら、
ロキが相変わらずおっかねぇな〜、コイツら、と、溜息を付き。
「まあ、何にせよ。あれだ、ウリエル。良かったな」と声をかける。
「・・・。はい。ありがとうございます」
少し戸惑いつつも、礼を返すウリエルを見ながら。
「・・・しかし、こういう場合は、何と言えば良いものなのでしょうね」
と、ようやく視線の硬度を下げたリンが首を傾げる。
「『コンゴトモヨロシク』ってのも変だしな」
久しぶりに集った仲魔同士が不器用な会話を交わす中に、全く空気を読まないシュラが口を挟む。
「私、あまり覚えてないからよく分からないけど。・・・とにかく、おかえりなさい ウリエル」
「そう、ですね。・・・おかえりなさい」
「おかえり」
「オカエリ」
「おかえりなさ〜い」
話を聞いて集まってきたケルベロスやピクシー達も顔を出す。
「・・・っ」
どこか既視感のある光景。
本来の故郷である天界ですら、味わうことの無かった、暖かい懐かしい何か。
それにウリエルの笑顔が歪む。
「・・・ただいま、かえりました」
そう言って、生まれ変わった炎と断罪の天使は、跪いて礼をした。
「じゃあ、これでカグツチ塔メンバー全員集合!だな」
「そうですね。ロキ。ここまでの激戦になるとケルベロスやピクシーは最前線には出せませんが、
偵察や参謀としてシュラ様直属になっていますしね」
「・・・あれ?誰か、足りない気がするんだけど」
今日はこれから歓迎のお祝い!パーティしよう!と、皆で移動途中の何気ない会話だったが、
シュラの突然の一言に全員の足がピタリと止まる。
「・・・どなたのことを」
控えめに尋ねるウリエルにシュラが首を捻る。
「うーん。思い出せないんだけど。もう一人、すんごい強いナカマ居なかった?」
「冷たいなぁ。シュラ!オレ達だと当てにならないってか〜」
「・・・ベルゼブブ様、でしょうか?」
「いや、蠅ちゃんじゃなくってね。もっとこう何つーか、スラリって感じの」
(地獄の大魔王を蠅ちゃんよばわりするのは貴方様ぐらいですよ!)と全員冷や汗をかく。
うーん。思い出せないな〜、ま、いっか。と結論付けようとするシュラの胸に
「キュ〜、キュキュキュ〜ン」と何か白いモノが跳び込んでくる。
「う、わ!・・・あ、こら、クズノハ!お前、お留守番って言ったのに!!」
「す、すみ、ません。シュラ様」
ハァハァ、フラフラと追いかけてきたのはパールヴァティだ。
「目を放した隙に、逃げられまして」
「あー。いいよいいよ。ごめんね。お守り頼んで」
「いえ、シュラ様のお願いなら喜んで」
「じゃあ、ちょうどいいから、パールヴァティもクズノハも一緒にパーティしよ?
いいタイミングで来たね〜クズノハ〜」
キュ〜ン、と鳴いて頭をこすりつける白い狐をモフモフさせて笑うシュラを見ながら、
どこか呆然とした風で、ウリエルは小声で仲魔に問いかける。
「クー・フーリン」
「はい?」
「アレ、は?」
「・・・ええ。十日ほど前に迷い込んできて」
「クズノハ、とは、誰が名を」
「ルイ様でしょう。・・・悪趣味でいらっしゃる」
「よくぞ、ここまで。・・・人の身で」
「あの真っ直ぐな男が畜生道に堕ちてまで、ね」
「・・・」
「どんな手を使ったものやら」
「・・・能力は?」
「既にたった十日で尾が3つに分かれました」
「恐ろしい速度ですね」
「私達も、うかうかはしていられない、ということですよ。"あのとき"のように」
「・・・でも、"あのとき"のように、あっさりと主様の隣は奪わせませんよ」
「ああ、あの方の隣は右横しかありませんからね。前も大激戦でしたね」
チラリとお互いに瞳を交わすと、暫しの後、・・・ふふ、はは、と二人揃って笑い出し。
横でびくびくと様子をうかがっていたロキが、だからオレ様が全員集合って言っただろうが!
と突っ込んで。
「パーティの始まりですね」
「ええ」
「ああ」
「リン、ロキ、ウリエル〜!!先に行っちゃうよ〜!!!」
「はい。主様」
「今、参ります」
「ちょっと、待ってくれよ〜、シュラ」
そうして、共にシュラの愛を受け、最大限の能力を得た最高位の悪魔達は、
愛する主の下へと嬉しげに歩みを進めた。