「変身?!」
「やはりか!」
やはり、異形のものになるか、と多数の悪魔が思う中、何者かが黒い光の中からその姿を現す。
「ほう」
ルイの瞳が開き、弧を描く。
「これ、は」
「む・・・う」
クー・フーリンとロキが複雑な声音で唸る。
未だ自我の戻らぬシュラが、感情の無い紅い瞳で見つめる先には。
2対4枚の、闇のように美しい漆黒の翼を持つ美しい悪魔が、目を閉じたまま佇んでいた。
◇◆◇
シンと静まり返る中に、ルイの声が響く。
「新しく生まれ出でた悪魔よ。名乗りを上げるがいい」
かつて天界で最高位であった暁の熾天使の声に。
やはりかつて、神の炎、断罪の天使の異名をとった堕ちた大天使は静かな声で答える。
「我は、"魔天使"ウリエル。シュラ様の為に生まれ、シュラ様を守り戦う者」
「なぜ、目を開けぬ」
「・・・我が瞳は、罪ある者を見出し、断罪する魔力を秘めるモノ。
この場にシュラ様。ひいてはルシファー様に二心ある者あらば、我が業火にて焼き尽くすが、
それでも、よろしいか」
その言葉に、ざわり、と動揺する悪魔どもを眼の端に入れながら、
「構わぬ。手間が省けて良い」
と、嗤って、ルシファーは促した。
そうして開いたウリエルの瞳は、右は断罪の金。左は煉獄の炎の赤。
その瞳に射抜かれた瞬間に、生きながら焼かれていく先ほどの悪魔貴族共の悲鳴を意にも介せず、
ロキとクー・フーリンはただ、ウリエルを見る。その瞳の色にあるのは羨望と、嫉妬。
「妬ましいほどですね。ウリエル」
「ああ、どれだけ愛しまれたのか。あれだけの力を得るとは」
「しかも、主様の瞳を両、方・・・っ」
「・・・お互い様だぜ。お前や、俺の戦闘時の姿を見ても、ウリエルは同じ思いをするだろうよ」
様々な思惑に揺れる裁定の場で、ルシファーはシュラを傍に呼び、ふわりとその髪を撫でる。
「また恐ろしくも美しい悪魔を産んだものだね、私の愛しい混沌の女神。
でも、今のお前なら、アレに6枚の翼を与えることも出来たろうに、私に遠慮したのかい?それとも」
未だ自我の戻らぬ瞳を覗き込み、その隠された意志を見る。
「力を残しておいたのかい?お前が、何よりも愛する者の為に」
やっと、逢うことが、できたのだしね。
ピクと動くその表情を見て、ふ、と笑うと、ルシファーはシュラを撫でていない方の手で合図を送り。
その場の全ての者を解散させた。