告白 3




「処置は済んだぜ。もういいから、入れ」
シュラの部屋の外で。ずっと、体を震わせながら待っていたクズノハは、 どこか固いロキの声を聞くなり部屋の中へ飛び込み。入れ替わりのように、クー・フーリンとロキは 部屋から出て行った。

「シュラ様」
「ああ。ごめん。クズノハ。驚かせたね」
大丈夫だよ。かすり傷だ。気にするな。ああ、ほんとにゴメン。

いつもどおりの笑顔。いつもどおりの様子にこれまでの緊張が崩れて。
クズノハの頬にポロポロと安堵の涙が落ちる。

「どう、して」
どうして、僕の。僕なんかの攻撃で。
いや。どうして、シュラ様がこんなに、弱られて。

「お前のせいじゃないよ」
ここんところ調子悪くてさ。
ちょっと、力を急いで補充しすぎたかな。

(力を、補充?……あの、夜も?)
思い出すだけで背筋がぞくりとする悪夢を思い出して、クズノハの涙は止まらない。

「泣くな」
泣かないで。クズノハ。
「お前に泣かれると、つらい」

焦ったように、おいで、と告げられて。
くんと持ち上げられて。膝に乗せられて。抱きしめられて、痛む心は癒える。
……けれど、違う心は痛む。

(痛い)
(心臓が痛い)
(この痛みはいつもの)

苦しくて、哀しくて。泣きたいほどに。せつない。

(それってさ。誰かのこと考えてたり、誰かと話してたりしてるとき、限定じゃないの?)

ああ、そうか。
今、分かったよ。ジル。
そうか。そうだったんだ。……僕は。

(……やめろ)


僕は。僕は、シュラ様が。
シュラ様の、ことが。

(やめろ。言うな)

「シュラ、様」
「ん?どうした?クズノハ」
その優しい声が、瞳が、指が、辛い。辛くて、たまらない。

「シュラ様、僕は」
「どうした?まだ、泣いてるのか?」
苦しい。言ってしまえば、きっと楽に、なれる。


(言うな!)


「僕は」

あなたが好きです。シュラ様。

誰よりも、好きです。




Ende

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