「そ、そそそそ、それで、どうなったの!」
「どう、なったって……」
心臓の痛みの原因が分かったと。
だから、その元凶に伝えてみたのだと語るクズノハの前でジルはとてつもなく、焦る。
だが。
「え?どうもなってないって?」
「……うん。そうなんだ」
あの後。
シュラ様は、ほんの一瞬だけ、驚いたような瞳をなさって。
でも、すぐにふわりと。いつもどおりの笑顔を作られて。
「俺も、お前が大好きだよ。クズノハ」
びっくりした。いきなり改まって、そんなこと言うから。
何だよ。今までは俺のこと、好きじゃなかったの?ひどいなぁ。
あはは。冗談だよ。冗談。分かってるって。ああ、うん。そうだな。
――― ずうっと、ずっと、大好きだよ。クズノハ。
「って、それで話が終わって」
「……」
あまりにも。予想通りの斜め上。
(さすがシュラ様と言っていいのかどうか、分からないけど…これって、やっぱり)
「通じなかったの?」
「分からない」
「ってか、かわされた、のかなぁ」
「……やっぱり、そう思う?」
本気だったのに。死にそうな想いで言ったのに。
それは。小さい頃からずっと一緒だった方に、今更って僕だって思うけど。
でも。黙っていられなくて。分かってほしくて。こんなに。僕は、こんなに。
「こんなに、シュラ様のこと、好きなのに……っ」
涙声になりかけたクズノハの前で、あわわわわとジルは焦る。
「わ、分かんないわよ!ホントの本気で通じてないだけかもしれないし」
「そう、かな」
「そうよ! ほらシュラ様って戦い以外は超鈍感で疎いって評判だし!」
「……うん確かに、そういうところもおありだけど」
少しずつ浮上する美少年の声に、はあ、とジルは心中で溜息をつく。
(もう!あんたが弱ってるとこっちまで辛いのよ!!そんな顔見せないでよ!!)
あんたには、いつも笑っていてほしいのに。
できれば、私の傍で。いつも。
……あれ?私、今、何、考えてんの?
「ジル」
「うわっ!ははははははいっ!なあにクズノハ!」
焦りまくる友人を放置して、クズノハはしいっと白い人差し指をその赤い唇に当てる。
「静かに」
「な、なに?」
「ほら、あそこ」
「え?……あれは」
(シュラ様と、クー・フーリン様?)
どうして、こんなところに?