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覚えていない、など、真っ赤な。 この生で、初めて出会ったあの時。 お前は、黒い、天使のように、見えた。 無事で良かった、と 幼い我を抱きすくめて、お前は笑った。 やっと、会えましたね、と。 身も心も魂も奪う、悪魔の笑顔で。 やっと、会えたと、 我もまた心のどこかで、思った。だが。 いつか、気付いた。 その色はお前と、同じでは無いことに。 彼らを送った後に倒れ付した我を介抱して。 無事に戻られたようですよ、とお前は微笑み。 良かった、と。安堵の溜息をつく我に。 妬けますね、とお前は笑った。 少し前にも、お前はそう言って、笑った。 あの男にけして触れるな、と命じた我に。 そんなにあの男が大事ですか、と。 心配しなくても、獲って食ったりしませんよ、と。 少し拗ねたように、からかうように。詰る、ように。 初めて出会ったあの時と、寸分違わぬ外見で。 獲って食ってくれればいいのだ。あの男では無く、我を。早く。 そうすれば、お前は気付くだろう。我の中身が嘘で詰っている、ことに。 この生が、お前の納得のいくように終われば。 お前は我を、お前のモノにすると、言った。 それが、前の生で我がお前に望んだ唯一のコトだったから、と。 ・・・理解はできた。我「も」また、それと同じことを望んでいたから。 早く終わらせたい。そうすればお前は気付く。 その瞳もその声もその指も何もかも、捧げる相手は別に居ることを。 あの男に触れれば、お前は気付いたろうか。 我が、偽物だと、いうことに。 旦那様?と、笑う頬に触れたくても、この腕は動かない。 深く触れれば、きっとお前は気付くだろう。 つれない方ですね、と。寂しげな瞳が我を断罪しても、この指は動けない。 どんなに、触れたくとも。死ぬまで、我はお前には触れられぬ。 偽物だと気付いたお前は、我を捨てるだろう。 捨てて、本物を探して飛び去るだろう。 でも、きっとその時は。 我は、死んでいるから。もう、苦しくは、無い。 言えるはずも無い。この誰よりも悲しい悪魔に。 お前は、人違いをしているのだ、などと。 言えるはずも無かった。この誰よりも愛しい悪魔に。 お前が”契約”した相手は、他に、居るのだと。 ・・・そこに、居たのだと。 Ende ←back 種々雑多部屋top だから、すまぬ、と。 |