あ・・・れ? 何も無いはずの空間に、ふわりと、落ちる、それは。 ――― 桜? 何も無いはずの、掌の中に、定められたように落ちる、一片の花弁。 音も香りも、ましてや温度など、あるわけもない世界で。 ――― 春 だ よ 。 カ イ 。 聞こえた声に、甘い香に。その温かさに触れて、くすりと、カイは笑う。 「・・・“ 散 る 桜 残 る 桜 も 散 る 桜 ”・・・だろう?シュラ?」 (どうせいつかは、今咲く桜(キミ)も、散って。・・・全ては無に) ・・・・・・でも。