思えばいつも君は惑っていた。 いつもいつもいつもいつも、 いつも。 君が私を大事に思ってくれるのは、おそらくはその惑いを導くであろう、 この先読みの力ゆえかもしれないと、時に苦く思いながらも。 それでも君から向けられる好意は、いつも心地よく。 故に私は理解した。 ああ、私が欲しかったのは、この他者から向けられる信頼と感謝といたわり、思いやり、そして。 何故か、悪魔にされた君だけが残していた、心の糸を響かせる柔らかな微笑み。瞳の力。 ・・・そんな、心が通じ合うその暖かくも懐かしい“つながり”だったのだと、やっと。 気付いた。 そして。あの、鏡の間。 惨劇の赤い水底で。 3体もの大天使と戦いながら。体も、心もそんな余裕は無いはずなのに。 あの女に人形のように壊されていく私を、その視界に入れたときの君の瞳が。 そう、きっと。 その悲しすぎる響きが、おそらくはあの“鈴”よりも高らかに私を喚びさました。 生まれ変わった、新しい存在として。 君の傍に、共に居る資格の在る、悪魔と、して。 next→ ←back 真V部屋top |