えうれか 02




思えばいつも君は惑っていた。

いつもいつもいつもいつも、
いつも。



君が私を大事に思ってくれるのは、おそらくはその惑いを導くであろう、
この先読みの力ゆえかもしれないと、時に苦く思いながらも。

それでも君から向けられる好意は、いつも心地よく。


故に私は理解した。


ああ、私が欲しかったのは、この他者から向けられる信頼と感謝といたわり、思いやり、そして。
何故か、悪魔にされた君だけが残していた、心の糸を響かせる柔らかな微笑み。瞳の力。


・・・そんな、心が通じ合うその暖かくも懐かしい“つながり”だったのだと、やっと。

気付いた。



そして。あの、鏡の間。
惨劇の赤い水底で。

3体もの大天使と戦いながら。体も、心もそんな余裕は無いはずなのに。
あの女に人形のように壊されていく私を、その視界に入れたときの君の瞳が。

そう、きっと。

その悲しすぎる響きが、おそらくはあの“鈴”よりも高らかに私を喚びさました。


生まれ変わった、新しい存在として。
君の傍に、共に居る資格の在る、悪魔と、して。


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