「そうか。うーん。困ったね。この先、進めるように見えて実は行き止まりだったし」
ライドウとゴウトに説明を受けたシュラは首を傾げて、眼をつぶった。
「すみません。僕が悪魔壁を甘く見ていたせいです」
ライドウは唇をかんだ。
「ライドウのせいじゃないよ。多分これって……俺を試すトラップだから」
「……貴方を試す?どういうことです」
「多分、大丈夫だから。ちょっと待ってて。あ、でも。ライドウは眼をつぶっててくれないかな」
「は?」
「頼むから!……リン!!後はよろしく!!」
承知、という声と共にライドウは後から目隠しをされた。
「何をする。離せ!」
「主様のご命令ですので、しばし失礼をお許し願いたい」
視覚を奪われたライドウの鋭敏な耳に、シュラ達の声が届く。
「俺だけ慣れてないから、間に合わないな。ロキ、ウリエル。助けてくれる?」
「分かった。少し、我慢しろよ」
「無体を働くことをお許しください」
「何をする気ですか、シュラ!?無茶なことは……」
やめてくださいとライドウが続ける前に、シュラの悲鳴が響いた。
「あ、あぁあぁあっ!」
「シュラ?!」
そして何かを耐えたようなロキとウリエルの声も続く。
「く……、抵抗したほうが辛いぞ」
「もう……少しですので。力を抜いて受け入れてください」
「や、めて。もうダメ。それ以上、入れないで……っ!う。うぁ……っ。あぁぁあっ!」
今まで聞いたことが無いシュラの辛そうな声にライドウの理性は切れた。
「シュラ!!何をしているんです?!クー・フーリン、離せっ!」
クー・フーリンの束縛を逃れ、壁の向こうにライドウが見たものは。
背中からロキ、正面からウリエルに抱かれて、悲鳴をあげるシュラの姿。
それを見たとたん、ライドウはヒュッと短く息を呑み、剣を抜き放った。
喉が焼け付く。
脳が沸騰する。
周りの空気がどろりと濁り、体中が他の者に支配されたように熱く動く。
そのまま壁に切りかかろうとしたとき。
ドガシャーン
合体時のような眩しい光がシュラ達を取り囲んだ。