何も無い宙に向かって、金髪の青年は優しく問い続けた。
「居るんだろう?そこに。助けてやらないのかい?」
「……それが彼の救いになるとは限らないよ。ワカ」
実体化しないまま、人修羅は答える。
「ここで、人として死んだほうが結果的には彼のためになるかもしれないって?」
今更だよ。シュラ。
良質な冗談を聞いたように楽しそうな青年の笑い声は、途中で止まった。
「ほう。ヒトも悪魔的な者は悪魔以上に悪魔的なんだね」
戦意を喪失したライドウに襲い掛かろうとしたのは、これまでとは違う種のモノ達だった。
「ええい!まだヤツを殺れんのか!?これだけのダークサマナーが居ながら、たった一人の相手にどれだけ時間を取れば気が済む!!」
怒号を上げる依頼者に、ダークサマナーはにんまりと返す。
「もうしばらくお待ちを。もうヤツには弾丸も悪魔も残っておりません。時間の問題です」
「そ、そうか!……だが、時間を掛けすぎだ!!」
「申し訳も。ですが、お詫びに、とっておきを用意しております」
「何の話だ?」
「これだけ我らを苦しめたデビルサマナー、ただ殺すだけでは惜しいとお思いにはなりませんか?」
『淫魔だとぉ……』
取り囲んだ悪魔の群れはいずれも人の生殖面の欲を引き出し、狂わせる者共。
滅多に無い美しい獲物を目の前にして、舌なめずりしている様子にゴウトは背筋を振るわせた。
「あれだけの美丈夫が淫魔に犯されつくして、死ぬる様子など滅多に見られないものかと」
「は。はははっ。なるほど。これは素晴らしい出し物だな!」
報酬は弾むぞ!と相好を崩した依頼人にデビルサマナーは深くお辞儀をした。
そして、取り囲んだ淫魔が彼に手を伸ばし、彼の衣服が剥ぎ取られていく。
『シュラ!頼むシュラ!助けてくれ!!!IRIS!!!』
そうゴウトが叫んだ途端、シュラの目が赤く光った。