再会 4




天主教会のステンドグラスが突如割れ、その亀裂から闇色の光がほとばしる。
実体化したシュラの凄まじい闘気に、晴海町の大気はビリビリと震えた。

「ああ、やはり君は、戦っている時が一番美しいよ。シュラ」

きらり、はらり、と。
色とりどりのガラスが崩れ落ちるその向こうで、金髪の青年はうっとりとつぶやく。

その身に緑柱石の紋様と紅玉の瞳を輝かせた悪魔は、ふわりと晴海町の地に降り立ち、
淫魔の群れをたった一発の地母の晩餐で全滅させた。
そして、倒れ伏すライドウとゴウトを背に庇うと、複数の仲魔を召喚し、指示を出す。


『シュラ!』
「ゴウトさん。反則ですよ。俺の真名を使うなんて」
『す、すまぬ。つい』
「お話は、後で。こいつらを片付けます」

――― マグマ・アクシス

状況を把握しないままシュラに飛び掛った愚かな悪魔達が一瞬で消されていく。

(あれは)(あの方は)
(シュラ様!)(あれはシュラ様だ)
(ああ、何てお美しい)
(お力が闇の光のように輝いておられる)

対峙する相手を認識し、ざわざわと動揺する悪魔の群れに
年端も行かぬいたずらっ子共でも見るような、優しい瞳と響きが向けられる。


「戦う? 俺と?」

くす。
「……なら、ここに」

――― おいで 。


ゆうるり、と口角を上げたその凄絶なシュラの笑みに、悪魔の群れは瞬時に瓦解した。


「な、何が起こったんだ!」
顔を歪ませて怒鳴る依頼者にダークサマナーも狼狽しながら答えた。
「わ、分かりません!ヤツにはもう悪魔のストックが無かったはずです。し、しかもあんな悪魔はどこのリストにも載っていません!」

そこへ他のダークサマナー達が慌てて駆け込んできた。
「おい!悪魔どもが俺らのいうコトを聞かねぇぞ!」
「何ぃ!」
「高位の悪魔が先を争って管に戻ってきやがる!
屑悪魔どもはまだ残っているが、あの知らない悪魔に擦り寄っていってるんだ!」


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