脅迫 5




――― トクリ。

……甘い?

(甘くて、美味しいよ)

そう言ったのは、ショボー?

……覚えている。あの味。ライドウの、味。愛しくて切なくて、止まらなくなる禁忌の。
だから、もう、食べちゃいけない。触れちゃいけない。もし、今の俺が、吸ってしまったら。

ああ。……たしか。
「マグネタイトを吸い尽くした後、あのデビルサマナーは3日間動けなかったぞ」と、
そう、言って。……笑ってた。……あれはトウテツ?

じゃあ、今の俺なら?
……洒落にもならない。おまえの命を削るようなもの、じゃないか。

ああ。……もう。
……どう、して、いいか、分からないんだ。
ワカ達は、きっと、手を出しては、来ない。きっと、ぎりぎりまでは。

……は。
マグネタイトの回復アイテムが無い世界、か。……なんて分かりやすいんだよ。
ご丁寧に、他でも、入手できないように、まで、して。

格下の悪魔を喰うこともできずに飢えた俺が……何よりも欲しい、ライドウを喰らい尽くして。
俺の命も、想いも、取り戻して、「真の悪魔」として帰ってくるのを、待ってるんだろう、な。


――― くす。

「そんなこと」が、できるぐらいなら。
俺は「真の悪魔」になってないじゃないか、閣下。……意外に、馬鹿だよね。


いっそ。死んでしまえればいいのに。消滅できればいいのに。そうすればきっと楽になれる。

ただ。まだ。
今はまだ。おまえが泣くから。……きっと、泣くから。もう少しだけって、そう思って。

消滅するときは、自分で分かるだろうから。それまでに何とかって。
嫌ってもらえれば、一番、いいんだろうけど。おまえに他に大切なヒトができれば、もっと。

……その時に。黙って消えれば、いいか、って。アヤ、みたいに。


(……っ、抵抗するな!受け入れろ!!)

――― 誰?
……ああ、甘い。
とても、甘くて、苦い。

(死ぬな!お前はまだ死ねぬのだろう!!)

似てるけど。あいつじゃない。
でも。あいつと、同じくらい甘い。
そして、その音は……辛くて、哀しくて、聞きたく、ない、よ。

(……アイツを、まだ一人にはできぬと、お前も分かっているのだろう?)

……ああ、あなたなんだ。
あなたなら、いいかな。
きっと、俺と同じくらい、あいつのことを大事に思っている、あなたなら、一緒に。

――― あいつを助けてくれる?かな



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アバ王設定です。実際にはソーマはありますが。
1個しか持てないわ。高いわ。入手困難だわ。嫌がらせか。閣下。
誰かさんが事情を知ってれば、ヒロえもん付けた悪魔連れて、ひたすら走り回っているのでしょうが。