Doppelgänger 3




「シュラ!」
「あれ、ライドウ。お前まで、また何でここに……わっ!」
猛ダッシュで走ってきたライドウに腕を引っ張られ、そのままその胸にギュウと抱きすくめられたシュラは驚きのあまり硬直する。

「あんな動く18禁を見たら、貴方の目が穢れます!大体、どうしてこんなところに居るんですかっ」
「い、いや、あの話せば長いことながら」
『ほう、切羽詰ると「やればできる子」ではないか、ライドウ』
「ライドウ!どさくさに紛れて、主様に無体は許しませんよ!」
「そっちのゴウト、これはどういうことだ!」
『恐らくお前とこっちのライドウを間違えたようだな』
『で、不感症な方だったことに気付いて、こっちに逃げ込んできたと』
「〜〜〜。だからその不感症な方ってのは何なんだ?!」
「そ、それはともかく、何でマーラの頭の上で星が回ってるの?」
「混乱させたのか?ライドウ」
「そうだ。あと少しのところまで追い詰めたのだが、逃げられて」
「だから、どうでもいいから、とっとと主様を放しなさい!」

「おーい。そろそろマーラも相手してやれよ〜」

はた、と気付くと、結果的に放置プレイをされているマーラ様が怒りの青筋を立て、不満そうに白濁液をタラタラとてっぺんから垂れ流している。


……うわぁ。なんというか、ものすごく せいりてきに イヤンなかんじ。


「あー、もうラチがあかない!私が戦う!!後はフォローよろしく!!」

一瞬の隙をついてライドウの腕から逃げ出したシュラが、半ギレしつつ一方的に指示を出す。

「シュラ!だから、貴方が穢れると」
「カオル殿!無茶なことは」
ほぼ同時に叫んだサマナー二人は、ん?とお互いの台詞に疑問を覚え鏡写しに向き合う。

既に戦闘態勢に入った真面目なシュラは二人ともあっさりと完全無視だ。

「混乱さえ解ければ、説得して魔界に戻せるから!リン!頼める?!」
「承知。そこの探偵助手二人!パトラ持ちの仲魔は居ますか?!」
「い、いや。今回は実戦専用を仕込んできたので」
「右に同じだ。鎮心符を使うか?」
「それでお願いします!主様、準備はいいですか?」
「了解!……って、うわ。お供がいっぱい出てきたよ〜」

マーラのお供淫魔がぞわぞわと出てきたのを見て、シュラがうんざりとした声を出す。

「もう!マーラが混乱してるから、お供まで混乱してるじゃない!!誰よ!こんなややこしいことにしたのは!!!鎮心符じゃ間に合わないでしょ!!!」
「……すみません」
「謝って済めば警察はいらない!」
「おっしゃるとおりです」
「仕方ない!私がジャベって、時間稼ぐから、その隙にイワクラの水をぶっかけて!」
「は、はい!主様!……ロキ、あなたもさっさと……って!

そこの親子連れ!何をさぼってるんですかっ!この非常時に!!

……見ると、ロキとフェンリルがわくわくした様子&観戦する気満々で座り込んでいる。

「いやー、女性体シュラの戦闘をこのアリーナのかぶりつきで見れるなんて、そうそう無いぜ。
プラチナチケット並みだな」
「ソウダナ、父上。楽シミダ」
「このバカ親子!槍千本飲ませますよ!」
「それ言うなら針だよ。針。お前に言われても怖くないも〜ん」
「ソウダナ、父上」

その能天気さに、さすがのシュラも冷静にプチと何かが切れる。

「……フェンリル?もう、二度と撫でてあげないよ?!」

「ハ、ハイィィィィッ!ゴ、ゴ指示オ願イシマスッ!」
「……あれ、オレは?」
「……無視されましたね。……もう私は知りませんから」
「えぇぇぇぇっ!そんなぁ!神様、仏様、ルイ様、シュラ様〜っ!」

「……どっかの金髪が、いそいそとやってきそうな泣き言を叫ばない!ロキ!!」


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もう誰が誰やら

ウチのライドウは「ヤレばデキル」子です。