白い指先がたどるたびに、悪魔の肌は色を重ね、熱を点し、……熔ける。
秘所に触れたそれが、僅かに湧き始めた蜜を絡めとり、触れるか触れないかの圧力で塗りこめる
ように動き始めると、悪魔はびくりと身体を蠢かせ、掠れた声で喘いだ。
全てが欲しいと熱望したのはヒト。
その裏も表も。女も男も。ヒトも悪魔も、何もかもの、容と心が欲しいのだと。
何も残せないと俯いたのは悪魔。
この心も身体も想いも願いも絶望も全部お前のモノだけど、手に入れても、何も残らないのだと。
握り締めた砂のように、先はただ零れ落つるのみのそれであると分かっていても。
それでも、と願うヒトの手の中に、悪魔はその身の色を変えて、滴り落ちた。
掌で掬った水のように、先はただ乾きゆくだけのそれであると知っていたのに。
とろり、と熔ける度に、切なげに首を振る度に、長い髪がサラと揺れて、白い布に線画を描く。
ヒトの女の容を成しても、その内側から溢れ出す隠し切れぬ魔の美しさはヒトを狂わせる。
白い咽喉に喰らいつき、片手で胸をもみしだきながら、もう片方の白い指はゆるりゆるりと
蜜を増やし、そして、更に艶を増していく悪魔の表情をヒトは飽くことなく、ただ見つめた。
やがて、ヒトがゆくりと悪魔の身体に中指を埋めていくと、悪魔の口が開き、赤い舌が何かを
求めるように声のない叫びを音にする。
それが自分の名であることに気づいたヒトは、微笑んで唇を重ね、舌を悪魔の口内に侵入させた。
その、指の動きと同じようにゆるりと。同じように深く。
ぴちゃりと、自分の身体の上と下から響く水音に耐えられぬように、激しく悪魔が身悶えても、
ヒトはその手を緩めず。むしろその体内の蜜をかきだすように動きを変えて、悪魔の羞恥を誘った。
ふと、その指が、あるところを、すい、と掠めると、ビクンとその紋様を一瞬 朱に染めて悪魔が震え。
それを確かめたヒトは悪魔よりも美しく、にぃと笑って耳を舌でなぶりながら、囁いた。
「ここ、ですね」と。
何度も、何度も責めさいなむように、そこを執拗に撫で上げられ、耐え切れぬように啼き。
やっと、その甘い声も、その腕も指も爪も己へと熔かして縋りつく、悪魔を見て。
ヒトもまた、その自制心を熔かしつくした。