夜 第拾壱夜 「嫉」



「〜〜〜だから、ちょっと、思い出しただけ、だって!」

それで、何もここまで責めなくったっていいだろう?!
俺だからまだいーけど、普通の人間なら心臓 止まってるぞ!!この鬼畜!!

訳が分からない内に、さんざっぱらいたぶられて啼かされて、さすがのシュラも若干おかんむりだ。
「……」

それでも、謝ることもできずに、ただ、苦しげに潤む黒い瞳が可哀想で。
優しすぎる悪魔は、仕方なく溜息をついて苦笑する。

「……ライドウって、嫉妬深い?」
「……ええ」

貴方限定、のようですが。
自分で制御が、利かない、なんて。
今まで、こんなことは、一度も、無かった、のに。


くす。
呆れたような笑い声が聞こえる。

「じゃあ、さ」
……それは軽い言葉の遊戯。

「俺がお前を、嫌いになったり」
恋人同士なら、一度はするような。

「他のヤツ、好きになったり」
少し怒って拗ねてみせて。

「どっかに、行っちゃったりしたら、どーするの?……まあ、実際に、行くんだけど、さ」

――― 雨が降っても、最後には、地固まるはずの。


「!」
止まっていた嬲る指が抜かれたかと思うと、即座に体勢を変えられて。

「う、ぁ……っ」
貫かれる。

「……く、うっ」
時を置かず、突き上げられて。

痛みと衝撃と快楽を同時に叩き込まれて、頭に火花が散る。

(また、こいつは……っ)
さすがに怒鳴りつけようとした声と。
睨みつけようとした金の瞳は、硬直する。

その男の。
はらりはらりと、落ちる涙と。
悪魔の首を締め上げようとする手に。
驚いて。……止められて。


――― 何、を。泣い、て。


涙を流す、愛しい男に。

貫かれて、突き上げられて、首を絞められて。
幾重もの意味で、呼吸を止められ、生死の端境(はざかい)で揺らされながら、悪魔は必死で頭を動かす。



俺、は。何を、言った?
何を、した?
それ、が。こいつの「瑕」、か?


……ああ。

やっと、見つけ、たよ。

――― ゴウト、さん。




第拾弐夜

第壱拾夜

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