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――― 貴方が、いけないのだ。 僕には、けして、秘密を教えてはくれぬ、貴方が。 優しく微笑むその表の顔の後ろにある、秘密を。 それは、全ての態で愛させて欲しいと願った理由の一つ。 その肢体のどこかに。貴方が隠し通す秘密が隠れていないかと、執拗に探した。 そのあらゆるところを自らの愛撫で侵しつくして。 でも、それでも。 甘い責め苦に叫び、許しを請い、痛みに耐え、快楽に溺れきっても、なお。 貴方はその秘密を隠し通す。 僕はこんなにも貴方に溺れているのに。 この細胞の全てが貴方を欲しいと叫ぶほど、何もかも貴方に囚われているのに。 どんなに深く触れても、貴方は僕にその秘密を見せてはくれない。 その本当の心を触れさせてはくれない。 ――― ああ。 きっと、あの男は知っているのだ。 僕の知らない貴方の秘密を。 知っていた。 週に一度の逢瀬。 彼のマグネタイトの香りを漂わせる貴方を、どれだけ憎いと思ったか。 影が重なる貴方と、彼を見て、何度、引き裂いて、やりたいと。 そう。 貴方は僕からは一度も。 あの時も、あのときも、あのトキも。 手を触れても、唇を重ねても、身体を重ねてすら、貴方は僕を拒絶し続けた。 ほら、今。この時で、すら。 ……どう、して? あの男のモノなら受け入れられる、のに ゴウトには、貴方の、本当の、名を、教えて、いるのに ねえ、どうして、僕では、駄目なの、ですか? それほどに僕は貴方に信じてはもらえないのか。 それほどに僕は貴方を傷つけ続けたのか。 そうして、その秘密を、その裏側を、その闇を見せぬまま、貴方は行ってしまうのか。 また、僕は、失うのか。置いていかれるのか。独りきりで残されるのか。 ……母様のときのように。 いや、だ。嫌だいやだイヤダ。 今、貴方は僕の腕の中にいるのに。 僕は貴方の中に居るのに。 なぜ、離れなくてはならないのか。 貴方が、そう、望むのか。 僕など、要らないと。 なら、どうして、そう言ってはくれない。 そう一言 言ってくれれば、僕はいつでも喜んで死ぬのに。 貴方の手に、かかって、死にたい、のに。
……ああ もう ――― 叫び声も、出ない。 第拾四夜 第拾弐夜 裏top |