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「……シュ、ラ?」 どれだけ呼んでも。 どんなに叫んでも。 閉じたままの瞳。 流れない吐息。 鼓動は、己のそれを返すのみで。 何回 揺さぶっても。 何度 息を吹き込んでも。 揺らされるままに動く腕。 人の態のままの身体はただ沈黙し。 地の底に落ちていきそうな黒い重みだけは雄弁で。 美しい、白い首に。 指の形を成す、青黒い、痣。 僕は、どれだけの間、「そう」していたのだ。 な、ぜ、抵抗も、しないで。 貴方の力なら、僕など、瞬時に、滅せたろうに。 きっと、壊れた僕は、それを望んでいた、のに。 ……チガウ、ダロ? ヤット オマエノ 本当ノ 「夢」 ガ 叶ッタナ 闇の中で、黒い自分の、白い歯が、嗤う。 ヨカッタナ。コレデ、モウ二度ト、コイツハ、他ノ何者ニモ 奪ワレナイゾ。 早ク 追イカケロ。今ナラ 追イツケル。モウ、刀デモ 銃デモ 仲魔デモ 構ワナイデハナイカ。 ドウセ、コイツハ、モウ二度ト。 ――― こんなに醜い、汚れたお前を愛したりはしない。 ほら、思い出せ。お前は汚れているんだよ。 だから、母様も お前を 置いて 逝ってしまったろう?
第拾五夜 第拾参夜 裏top |