夜の王 7


どくり、と注がれる熱い愛を感じながら、悪魔の視界に入るのは、既に萎まんとする 花

一晩だけ
それも短い時間しか咲かない。哀しい花

甘く翳る思考をよぎるのは残りの、花言葉

確か

「儚い美」

嫌な予感にゾクリとする

いい、や
儚く、なんか、させ、ない

この花は散らさせない
俺が、守る
守って、みせる

どんなことを、しても
何と、引き換えにして、でも

たとえ
お前に、憎まれても

そう、決めたんだ
あの、何もかもが狂った世界で



お前を守るために
俺のやったことを知ったら

お前は、怒る、かな


怒ってくれれば、いい

いっそ
嫌って、くれれば
憎んで、くれれば

そして、早く
忘れて、くれれば
いい


達した後も、抱き締めた腕を解こうとせず、口付けを降らすヒトを悪魔は哀しげな瞳で見る


頼むから
もう
そんなに
俺を
愛さないで


苦しいんだ
もう

この想いを
隠すのが




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