「夢の、ようです」
ポツリと呟くお前の音が、聞こえる。胸が締め付けられるような、音。
……現実、だよ。今は。でも、いつか。
いつか、全て、夢に、するよ。俺の、魔力で。
思い出そうとしても、思い出せない夢に。……だって、夢って、そういうモノ、だろ?
ごめん、な。
許してくれなくて、いい、から。
◇◆◇
「あ……あ、ぁ」
ヤバい。
ヨすぎる。
もう、一度、って。俺の返事も待たずに、勝手に再開しやがって。
しかも、"一度" じゃ、ない、だろ。……もう、お前の詐欺に何度騙されれば、俺は。
「や。……や、ぁっ、ま、って、ライ、ド」
マズ、い。
制御、キかない、か、も。
Vollmondの影響?いや、それだけじゃ、ない。……これは。
……お前の、せいか。「夜の女王」。俺が散々、似てるって言ったから。
コイツに助力、してる、だろう?いや、同調、か。さすがに、すごい魔力だね。女王様。
でも。俺の魔力のほうが、俺の想いのほうが、強いよ。
だから、どんなに追い詰められても、「あの言葉」は、絶対に言わない。
「愛してる」なんて、……絶対に。
――― 不思議な、感覚。
貴方の内から、凄まじい快楽が伝わってくる。
その、耐えようとしても、抑え切れない甘い声も。
しっとり、と細かな汗を浮き上がらせる、この、すべらかな肌も。
僕の肉も心も魂も、引きちぎらんばかりに、捕えこもうとするうねりも。
何もかも、僕を追い詰めて、快楽の終焉に連れて行こうとするのに。
終わらない。いや、終われないのは、どう、して。
月の魔力?……いや、それだけでは、ない。これは。
この、花、か。貴方がその魔力の篭もる声で、何度も、僕に似ていると言った、から。
僕に助力、いや同調しているのか。……お前も、この悪魔を抱きたいか。それほどに。
だが。お前より、僕の方が、強い。この悪魔に関しては、何もかも。
だから、もう力は要らない。後は、僕だけの想いで、抱きつくして、壊す。