「ええと、シュラさんはデビルサマナーなのですか?」
あの後、手伝うと言い張るシュラを椅子に括りつけたライドウが煎れた日本茶と、ライドウが準備した山のようなお茶菓子と、ライドウがセッティングした机で、皆が何とか寛いだ後、やっと通常の会話が成立し始める。
「あ、いや、彼は」
と、言いかけたライドウの脚を机の下でコンと蹴飛ばし、
「違いますよ。ちょっと悪魔と話せるだけで、俺は悪魔を使役してるわけじゃないです」と、
器用にもピクシーには目配せを、ハイピクシーには人差し指を唇に当ててにっこり笑いながら、
何食わぬ顔でシュラは答える。
もちろん蹴飛ばされてシュラを軽く睨んでいるライドウなど完全に無視だ。
「で、でも。このピクシーはとてもハイレベルとお見受けしますが」
「ああ。彼女は俺の友達なんです。生まれてはじめての」
「まあ」
「俺は昔、とても弱かったので。なかなか友達もできなくて
。
今は少しは強くなって、
友達も増えましたけど。
それでも彼女は俺のことを心配して、ずっと、一緒に居てくれてるんです」
……ね。 と笑いかけるシュラにピクシーは頬を染めて、うふふ、とご満悦だ。
そしてそれを聞いていたハイピクシーが騒ぎ出す。
「へぇ〜。ねぇねぇ。何だか凪と私みたい〜。いっしょ〜」
「こ、こら余計なことを」
「ん?一緒って何?」
「わ、私の初めての友達が」
「えっへん。私なんだよ〜」
「そうなんだ!何だか、似てますね。俺たち。嬉しいな」
「そ、そうですか?」
『ライドウよ』
「……」
『これは意趣返しか?』
「……」
『……天然か』
「……多分」
まったく嘘はついていないものの、よくもまあこれだけ上手く話をもっていけるものだと感心しながら見ているゴウトと、最早会話に加わる気力も減退中のライドウを放置し、明るくさわやかな青少年の口説き文句モドキの会話は延々と続くのだった。