堕天 2




「で、相手は?」
「天の第2軍です」
「ここまで攻め入るとはやるじゃん。敵将は誰?」
「ウリエルです」
「ふうん」

苦戦している地区があるからと、急遽戦場に駆り出され、魔将軍達と作戦会議を行っていたシュラは 特に何の感慨も無く、その名を聞く。
その者はかつてシュラの傍でシュラを守って戦っていた大天使であった。

「あの恩知らずが!」
「そうだ!シュラ様の腕を奪って、天軍に寝返った裏切り者!」

「ああ、でも俺、それ覚えてないからさ」
今の戦況に関係ないことなら、黙っておいで、と、いきり立つ悪魔達に優しく釘を刺すシュラを、 過去を知るロキやクー・フーリンは黙って見ていた。

「ここ、敵の配置が妙だね。何かある?」
「いえ、特に情報は入っておりませんが」
「虎穴に入らずんば・・・かな」
「シュラ様!」
「俺がここを叩く。予想通りなら他の手勢も全部寄ってくるだろうから、後は任せるよ。いい?」
「危険です。シュラ様!」
「貴方に何事かあれば、私どもは!」
「今ここに、俺より強いやつが居るなら、任せるけど?」

笑って答えるシュラに魔将軍達はこれ以上引き止めることを断念した。



――― ジジジ。

「ああ、ちょうど始まるようだね」

部屋全体がモニタに変わり、ルイはゆっくりと中央の安楽椅子に座った。

「子狐くんもおいで。ここが特等席だ」

画像に驚いてキョロキョロしていたクズノハは、ルイの呼びかけに顔だけ振り向かせる。

「お前の大好きなシュラの、一番美しい姿を見せてあげるよ」
そう言って、ルイはにっこりと嗤った。


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