堕天 6




目を焼くような光がおさまり、クズノハはモニタと知りながらシュラが居たはずの場所に 駆け寄り、
キュイキュイと悲しげに鳴いた。

ルイは眉一つ動かさず、それを見ていたが、やがてモニタに映し出された光景に、にんまりと
美麗に口角を上げる。

そこには。
傷一つ無いシュラと、その膝に抱かれた満身創痍の天使が映っていた。


「・・・ねえ。どうして、俺を庇ったの?」
そう、悲しそうな瞳でシュラが尋ねると、

「どうして、でしょうね」
はらり、はらりと舞い散る羽の持ち主は、微笑んで答えた。

「・・・俺に、できることは?」
「少し、だけ、愚痴らせ、て、くだ、さい」
「うん」

「なぜ、私を、連れて、行って、くださら、なかった、のですか」
ハラリ、ハラリと涙を流す天使は、そうシュラに詰まった。


「貴方の、居ない、天国、など、私、には、地獄の、底、でしか、なかった」
「・・・すまない」

うつむくシュラの頬に、血に染まった天使の指が届く。
「泣か、ないで、くだ、さい」

「泣いてないよ」
「いいえ、優しい、貴方は、よく、泣いて、おられた」

泣けない貴方が涙を流さずに泣いておられるとき、いつもお傍に居たかった、のに。

「・・・っ!ウリエル!」

その血でゴブリと言葉を赤く染めた天使を抱きしめて、シュラは囁いた。

「ウリエル」
「は、い」

「もし、今でも、お前が望むなら、俺の傍においで」
「!」

「今度は、もう、手を離したりしないから」

そして、シュラはウリエルにそっと口付けた。



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