「ん・・・っ」
天使の口付けが悪魔の胸の先端に至り、微かな声を悪魔が漏らすと。途端に。
びくりと、怖じたように動きを止める天使にシュラは苦笑する。
まだ、怖いんだ。可哀想に。
この青い瞳の鳥は、私がお前など嫌いだと、一言与えれば、死んで、しまうの、だろうか。
その翼を引きちぎって、落ちて、いって、しまうの、だろうか。
――― 可哀、想に。
「嫌じゃ、ない」
安心させるように、言ってみる。
「大丈夫。続けて・・・それとも」
私の"声"は聞きたくない?
暫しの沈黙の後、
「聞かせて、くだ、さい」と、天使の擦れた声が響き。
再び胸に絡みつく舌は、容赦ない動きを見せた。
◇◆◇
そう、と、伸ばされた天使の手は、悪魔の中心の泉にたどり着く。
甘く濡れたその奥に引き込まれるように指が誘われると、悪魔が漏らした声と共に、天使の心も
体も思考まで、きゅう、と囚われる。
「あぁ、シュラ、さま」
愛しんでいるのは、こちらの方なのに。
貴方に、感じてもらえたと思うだけで、なぜ、こんなにも。身体中が悦びの声をあげるのか。
そして、貴方の内なる泉は何て甘く、私を誘う、のか。理性を根こそぎ奪わんほどに。
ああ、でも。
「本当に、よろしいの、ですか」
――― まだ、引き返せる。
いや。
まだ、怖い、のだ。私は。
「そ、れは、わたし、の、せりふ、だよ」
甘く擦れた悪魔の声が響くだけで、ドクリと天使の中心が脈を打つ。
「本、当に、いい、の?」
狂っても、知らない、よ?
くす、と笑うその声は、妖艶さとあどけなさが絶妙に交じり合う、雄を刺激する音、そのもの、で。
もう、狂って、おりますので。と、擦れた声を落としながら、指を抜き。
バサリと翼で空をかいて、その反動でふわりと両腕で主を抱き起こし。
濡れて求め合う、互いの中心を、ぴたりと添え合わせて。
――― 後は、どうか。
貴方の、望まれるままに。
そう、言って。
下僕は主がもたらす甘い地獄を待った。