「う、あ、あぁあ・・・っ」
白い闇に天使の悲鳴が響く。
ぬちゃりと下りてきた、己の中心を包み込むその感覚に、脳髄まで焼き切れるように体が熱くなる。そして、主と一つになれたことで、下僕の心も身体も全てが歓喜の悲鳴をあげる。
ああ、怖いのは。この幸せを得てしまったら、後はただ、落ちるしかないと、分かっていたから。
――― 手に入れれば、後は失うしかないと。
「ウリ、エル」
擦れた甘い声の主が、パサリと髪を振り、下僕の首へと腕を回す。
「ここ、からは」
お前がしたいように、して、ごらん。大丈夫。私は、壊れたり、しない。
見せて、ごらん。お前が一番恐れている、自分の姿を。
その言葉に召喚されて、むくりと、自らの内なる"獣"が起き上がるのが分かる。
ああ、許してもらえるならば、たとえ忘れられても、今は私だけを貴方に刻み込みたい。
「今、までに、翼を持つ者を、"召された"ことは、おありですか」
婉曲な表現は主ではなく、己を守るため。嫉妬に、気が、狂わぬよう。
「多分、無いと、思う」
そんな"子供"は居なかった、から。
天使を内に咥え込んだまま、甘い声で"怪物の母"が答える。
では。しっかりつかまっていてください。と。
どこか、満足げな声で、囁き。
主を腕に抱きこみ、繋がったままの腰を支えて、バサリ、と天使が翼を広げる。
――― これは。
下級天使共が、その肉の欲に溺れて、為していた行為。
表面化し、処罰の対象に、と、懸案として上がってきたときには、眉をひそめたものだが。
・・・その余りの淫猥さに。
「あ・・・やっ」
今までで一番甘い響きに、心がうずく。
空中での行為。上昇するときも、下降するときも、違う意味の圧が身体にかかる。
翼の無い者には与えることなどできぬ快楽。
「お気に、召して、いただけ、ました、か」
己の喘ぎ声を耐えて、問うてみる。少しの間だけ、ホバリングして。
「こ、んな、こと」
どこで、覚えて、きたの?天使サマ。
震える声。縋るように私を抱き締めて。それでも私を締め付けて攻撃することは忘れないで。
「天、界で」
上ずった声を返すと。
くす。
「天界も」
お盛んな、ことで。
そう、笑って。悪魔は。
じゃあ、天国まで連れて行って。天使サマ。・・・地獄でもいいけれど、と天使の耳に囁いた。
◇◆◇
共に気を放ち、その身の繋がりを解いた後も、主をその腕と翼で抱きしめたまま離そうとしない
ウリエルに。
シュラはまだ擦れたままの声で問いかける。
「ね。今まで、何度、私を犯したの?」
――― お前の、頭の中で。
「・・・何度も」
その問いが「罰」だと分かっている天使は、目を閉じて、悪魔に懺悔する。
くす。
「じゃあさ、何度、俺に犯されたの?」
腕の中の宝色が色を変えたことに気付いても、腕も翼もその抱きしめる力が変わることは無い。
むしろ、より強い色を放つそれが逃げていかないように更に深く抱きしめて、天使は真実を答えた。
――― 何度、も。我が、主。