「ごめんね、まだ苦しい?」
「い、い、え。あぁ、あ、あ、シュラさ、ま」
ゆうらりと蠢く悪魔を内に受け入れたまま天使は喉をひくつかせ、翼をバサリと動かした。
既に幾度もシュラの気を受け入れたウリエルに、もうまともな言葉は紡げない。
「無理、させた、かな? でも、お前が悪いんだよ、あまりに可愛いから」
「・・・っ、あ、あぁ、そ、んな」
くす。
ほら、今更、耳元で囁いたぐらいでそんなに感じないで。また止まらなくなる。
言うなり、口づけられ、突き上げられて、ウリエルはもう何度目かも分からぬ高みに昇らされる。
――― 終わらない地獄、いや、天国、か。
昇りつめた自分が放ったマグネタイトの光が全て主に吸い込まれていくのをぼんやりと見ながら、
ウリエルはシュラの身体に腕を巻きつける。こうしていくらウリエルが気を消耗しても、優しくて残酷な彼はその吸い取ったマグネタイト以上の気を自分に注ぎ込んでくれるのだ。
――― 気を、失うことも、許してくださらない。
今まで俺と交わった大抵のヤツなら、とうにオカシクなってるのに、どうしてお前はそう、いつまでも
変わらないの?おかげで、終われないよ。
そう、残酷なほど無垢な瞳で、心底不思議そうに聞かれたとき、ウリエルは笑いたくなったものだ。
この地獄、いや天国に他者が狂ったのは、分かる。分かりすぎるほどに分かる。
喩えで無く、この行為は侵食そのもの。自らの全ての細胞が彼のモノに侵され、喰われていく。
彼に注がれたモノ全てが、延々と、身体の内から外から責めたてるのだ。
――― 堕ちろ、俺のモノになれ、下れ、闇の軍勢に。その身も心も魂も、と。
・・・貴方をこのように造りかえたのは、恐らくはあの御方か。
最愛の芸術作品が誰にも壊されぬよう、分不相応に手を出したものにはそれ相応の罰が下るよう。
・・・誰よりも美しく、最強、最悪の孤高の悪魔であるように。
けれど、ああ、どう、言えば分かってもらえるのか。
――― もう既に、私の羽の一枚、細胞の一つまで、全てが貴方のモノなのだと。
でも、もうこの天使には、そう多くの言葉を紡ぐことはできなくて。
「これ、以上、どう、狂えば、いいと、おっしゃるの、ですか。本当に、貴方は」
――― 残酷な、方。
そう言って、目を閉じるとまた優しい口付けが降りてきたのだけれど。
――― ごめんね、という言葉と共に。