Deadmen 2







本当によろしいの、ですか。
うん。俺は、いいよ、お前なら。

私、なら?
うん。

・・・
でも、お前が、嫌なら、いい。

・・・断われば。代わりを、探されますか
いや。・・・代わりはいらない。・・・もう。





その肌に、初めて深く触れたあの日に、交わした、言葉を思い返しながら。
クー・フーリンは同じ音のそれを、落とした。

本当によろしいの、ですか、と。

もっとたくさんの「白」を注げと命を下して、女性体に変じた己の主に。


「・・・う・・・んっ、・・・あ、・・・ど、して?」
いつもと、ちが、う、と、甘く啼き、怪訝そうに戸惑うシュラに、忠実な犬はふ、と微笑む。

――― ご存知ありませんでしたか。主。

「何、を?」
「本来の私は、」
すべての手足に、七本ずつの指を有して、いることを。

――― え?・・・なな、ほん?
(そういえば、これまで貴方にその形態を使ったことは、無かったですね)

「ふ、ぁ・・・ぅ、ん、っ」

その指の動きに、普段以上に翻弄されながら、主は上から覆いかぶさっている彼の髪を、梳く。
甘い主の表情を周りから覆い隠すカーテンの如き幻魔の長い髪も、常とは異なる柄を描く。

「髪の、色、が、」
「ああ、これは」

本来は三色なのだと。
そう微笑んで語るクー・フーリンの、愛しげに細められた目の内には、7つずつの、瞳。
先ほど、いや、今も惑乱させられている7本ずつの指を、知覚しながら。
混沌の王は理解をする。

己に従い、己を抱き、己に溺れている、この幻魔は。
まさしく、異国の主神の愛し子であるのだと。





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