Deadmen 4





「でも、またアレを使われると、拙いよな。回避する方法、何か無い?」
「ああ、アレ、か」
「光の檻のことですね」

ウリエルが堕天したあの日に、天界側が発動させた、貴方を捕らえるための罠。
優秀なる将としての貴方なら必ず対応策をお考えになるだろうと、我等は懸念していた。
恐らくはその思考がたどり着かれるその先も。

「うん。俺も気をつけるけど、捕まったまま動けないってのは、困るよな、周りに迷惑かけるし」
そうだな。次は、自分の意思だけで檻ごと自爆できるようにルイに設定してもらうか。

にこりと軽く、冗談ではない冗談のような、本気の提案を聞いて、我等は焦った。

――― 冗談ではない!、と。


「待てよ!他にも方法は、あるぜ、シュラ」
「ロキ?」

こういうときに、彼の紫の肌は都合が良いものだ、と思う。
主の恐ろしい言葉に心臓が冷え、顔が青ざめていても、それが分かりにくい。

「ロキの言うとおりです。主様」
「どういうことだ?リン」

そして私もまた。残酷な提案を告げる。
悲痛な視線を、都合よく眉庇の下へ押し隠して。

「要は、光で構成された檻ですので、それ以上に光の力を保有されれば良いかと」
「・・・ただ、バランス崩して、壊れないように闇の力も調整していかないと、だぞ」

なるほど、と、肯かれた貴方が、どこか痛ましげにロキと私を見る瞳が、哀しくも愛しかった。

――― それでも。

「キュ!」
「クズノハ。居たのか」

会話の意味が分かっていないながらも、哀しげな主の雰囲気に気付いたのだろうか。
シュラの足元に白い毛並みが、キュウと鳴きながら、揺れる。
慰めるように身を摺り寄せるそれを、愛おしげに抱き上げて、その鼻先にキスをして。

「そうだなーお前が大きくなって、綺麗なお嫁さんもらって、可愛い子供できるの、見たいしな」
それまでは、消えるわけにはいかない、よな。

そう微笑む貴方の腕の中で、キュと鳴く幸せな小さな白い生き物を見ながら、私達はまた。

黒へと揺れた。




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