Iris Garten 03





え。ええと。コホン。

たしか、そのあと、少し 体を 動かしたい、と、おっしゃる シュラ様と 散歩に 行きました。


まわりの 方々が シュラ様に、ふわりと した 白い 布を 重ねて 作ったような、
とても とても きれいな 服を きせておられて。

ギリシャの 女神様って、こんなだっただろうか、と。誰かが 呟いていた 気が します。



◇◆◇



「ちょっと、散歩に出かけよっか、クズノハ」

回復するまでは、戦闘しようなどと夢にも考えないように、と、
取り巻きの女性悪魔から無理やりに柔らかな服装を付けさせられたシュラが笑う。

「よく分かんないけれど、ギリシャの女神ってこんな服を着ていたかしら」

ピクシーが首を傾げながら評したその衣装は、軽やかで動きやすく。シュラの好みに合った。
もちろんその幾重にも重ね合わせたその布には、防御と治癒の魔法が織り込んであったのだが。


散歩散歩〜。あー外に出れたの、久しぶりー。と、嬉しそうな声が響く。
その声の持ち主の、ふわふわと揺れる服の裾の横で、どこか夢心地で歩きながら。
それでも女性体のままということは、まだ復調はされていないのだ、とクズノハは心配になる。

キュウと鳴いたその音に気付いたのか。
彼の最愛の主は、大丈夫だよ、と微笑んでみせた。
ちょっと、“私の庭”に行くだけだから、と。



◇◆◇



しばらく 歩いた 後に、とても きれいな 庭に たどりつきました。

それは、本当に 見たことも 無いような、美しい、不思議な、庭で・・・。

シュラ様が 「“ 虹 の 庭 ”だ よ 」、と、おっしゃるのを 聞きながら、

本当に、その名の とおりだと、ぼくは 思ったのです。




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