愛しい声に促されて、瞳を開けた男の視界に入るのは。 見慣れた、いや、見慣れたはずの灰色の瞳。心配そうな・・・どこか辛そうな。 「・・・シュ、・・・カオルさん?」 「起こしてごめんね。・・・ひどく、魘されてた、から」 大丈夫?嫌な夢でも見てた?・・・ああ、ひどい寝汗。 手ぬぐい濡らして持ってくるね、と、立ち上がろうとする妻の、その華奢な手を。 夫はその白い手で強く、 ――― 掴んだ。