サクラモリ 05





「「かーわーいーいー!!」」




「うわー。女性体ってのは、聞いてたけど、何これ何これ、可愛すぎ!!」
「あ。髪も自前なんだ。へー、性転換したら勝手に伸びるのか。便利だねー!」

「つか、それって、男性体より力が増してるってことだよね。いや確かに魅力も増してるよー!」
「ああ!それにその和服に割烹着!“若奥様”って風情でいいなぁ。萌える!萌えたぎるー!」

「ちょ、キョウ。その単語まずい。新妻とか団地妻とかって!うあー俺もたぎってきそう!!」
「新妻なんて言ってない!・・・つか、団地妻は関係ないだろ!一体シジマはどんなエロ規制を!」




「・・・なーんか、言われてんぞー。Mハゲ」
「・・・」





・・・ゆく春の 華の帝都の 築土町。

何が一体どうなったのかは分からないが、めでたく二人が結婚したとの風の噂を聞きつけ。
これはぜひ、兄達としては可愛い弟、いや、この場合、妹の幸せをこの目で確かめなければ!

・・・と言うのは建前で。

何と言っても、自分達の目の前で幼児体シュラにディープキスを延々とかました前歴を持つ、
とんでもない男が、“夫”である。

(ちょっとでも不幸だったら、自分ちにかっさらってきてやる!)と、
大いに意気込んだ彼らは、タッグを組んでやってきた、わけなのだが。




「あーでも、見れば見るほど、かわいいー」
「ホントだよなぁ。ねぇねぇ、シュラ、他にどんな着物ある?ハイカラさんっぽいのとか無い?」

「うああ、それイイ!見たい!!矢絣に袴にブーツ。ついでにパラソル、ポニーテールー!!!」
「いや、そこはやっぱり三つ編だろ!おさげ髪だろ!!」

「お、何か意外ー。キョウ君てば、実は清楚系が好みだったりとか?」
「・・・っ。ひ、否定はしないけど、さ」





「清楚系が好み、らしいぞ。真っ赤なアメリカ人」
「・・・」






不毛な火花を散らしあう、半強制的に付いてきた、それぞれの相方をあっさりと放置したまま。
二人の兄達は、初めて見る“妹”の艶姿に夢中だ。


「え?でも、籍入れただけ?結婚式とかしてないの?」
「あー。言い訳で、式挙げたことにしただけかー。うーん。仕方ないっつーたら仕方ないけど」

「そっか。残念。写真でもいいから、シュラのウェディングドレス姿とか見てみたかったのにー」
「え。そこはやっぱり和風だろ。ああ、白無垢、角隠しで三々九度とかさぁ。見たいなぁ」

「うーわ。ホントにそっちが好みなんだ」
「な、何だよ。何か文句でも・・・」

「だってさー。全然、違うじゃん、理想と現実。お前の赤いアレ、白無垢、似合うかぁ?」
「アレって、言うな!・・・じゃあ、何か?お前の氷川サンはポニーテールが似合うのかよ!」




「・・・・・・(し、しろむく?って何だ?)」
「・・・・・・(ぽ、ポニー、テール・・・・)」





もうどうしようもなくとんでもないカオスな方向に話題がどんどんと進むのを、
この場に居る、誰一人、止めることができないのは。
さすが、混沌王が3人(しかもしゃべっているのはまだ2人)揃っているだけのことはある。




「あー。でも、あれだ。よし、一度試してみるか」
「え。何する気?静夜?」

「いや。俺もちょっと女性体になってみようかなーって」
「お、・・・お前、何を無茶な!!」

「いやーだってさー、見た目一緒なんだし、・・・そこそこイケそうな気しない?」
「・・・確かに、それは、思う、けど。今の、俺達はそこまでの力は」





「・・・・・・(女性、体)」
「・・・・・・(女、性体)」






「平気平気。ほら、こっちに来たいって頼みに行ったときさぁ、ルイも」
「あ!女性体だった!ちょっと南極行ってきたからとか、訳分からないこと言いながら!!」

「だろ。あのノリだから、頼んだら、今日一日ぐらい力貸してくれるって!」
「そ。そうかな。・・・でも、アイツ。何で南極行くのに女性体になる必要が・・・」

「うーん。何でだろ。ああ、男より女の方が寒さに強いとか」
「そうらしいよね。脂肪多いから雪山での生存率は・・・・・・って、んなワケ無いだろ!!」


「・・・あ。あの、静夜、キョウ」
「「ん?なに、シュラ??」」
「よ、よく分かんないんだけど・・と、とりあえず・・・座らない?」

ほ、ほら。みんな、固まっちゃってるし・・・。

そう、二人に固く抱きつかれたまま、進言するシュラの目の前には。
あまりの会話の混沌さに、ゲシュタルト崩壊寸前の男共が真っ白な灰になりかけていた。




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いや、ダンテさんの白無垢は似合うと思います・・・。だって素敵サイトさまで・・・ゴホンゴホン。
氷川さんのポニーテールは・・・ノーコメントで・・・。

ちなみに前頁との間には、隠しはまだありません。

・・・まだ?