甘い夢の時間は、心の臓を抉るほどに、短い。
儚い逢瀬と知る恋人達は、寸暇を惜しむように、肌を重ね、言葉を重ねる。
「貴方の色は、何と呼ぶのですか?・・・ドイツ語で」
「え?」
「彼等は、黒と赤、でしたでしょう?」
「・・・ああ。黒が Schwarz(シュヴァルツ)で、赤がRot(ロート)」
「貴方は?」
「・・・白?」
「ええ」
「・・・Weiß」
「ヴァイス?」
「うん」
「なぜ、各々、その色を」
「多分、コトワリの色」
「コトワリ?」
「・・・うん。望む世界の、色」
短く返した悪魔が、それきり、困ったように口をつぐんでしまうのを、見ながら。
(では、貴方は、本当は、誰も、何も・・・僕も、望んでいない、から、白?)
気付かれぬように、傷ついた瞳を闇に逸らしたヒトは、覚えていない。
目の前の悪魔が、己を白い花に、たとえた夜のことを。
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そういえば、そうでした。