月蝕 03









あの逢瀬で、僕の言葉を頑なに拒んだのは、僕の罪への罰だったのか、それとも


(僕を、言葉の枷に捕らえぬためだった、のか)










「ライドウ!この・・・バカ!!」
戦闘中。何度か、彼をかばって、叱られたことが、ある。

「なあ、あんな攻撃ぐらい、今の俺なら避けられるってわかってるだろ?」
分かっている。そんなこと、分かりすぎるぐらい分かっている。でも、体が勝手に動くのだ。

「そんなに俺のこと、弱いって思ってるの?」
違う。ただ。誰にも触らせたくなかっただけだ。それがたとえ攻撃というカタチでも。

(きっと、襲い掛かってきている者共も同じだ。貴方に勝てるなどと到底思ってはいまい。
けれど、今しか。この世界でしか貴方に触れることはもう二度と無いと、皆が分かっていて。
だから皆、貴方を攻撃してくるのだ。貴方に触れたくて。ア ナ タ ニ 殺 サ レ タ ク テ)

けれど、貴方に言える答えを持たない僕は、いつもただ黙って下を向き。
いつも、貴方は深い溜息をつき。

「ああ、きれいな肌が台無し!!今度やったら、ホント絶交だぞ!
俺、お前のこと無傷で帝都に戻すって、ゴウトさんと指きりしてるんだからな!!」

何に怒り何に喜び何に悲しんでいいか分からないそんな言葉と共に、美しい紋様の輝く指に
僕の口へと突っ込まれた宝玉は、とても苦く思えた。…その指はとても、甘かったのに。





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